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2016年11月22日

eSRU第11期第11講

 eシルクロード大学(eSRU)第11期第11講は
2016年11月17日(木)18:00〜19:30
講師に(株)ティ・エム社長・一級葬祭ディレクターの田村麻由美氏を
お迎えして、「葬送の現場から」の演題でお話を伺いました。
場所はいつものユビキタス協創広場 U-calaでした。 
 田村氏のお仕事の肩書には一級葬祭ディレクターの他にグリーフケアアドバイザー(1級)、復元死化粧師の耳慣れないものがあります。さらに氏は札幌市中央消防団曙分団の団員でもあります。葬儀屋として様々な「死」に直面し、突然倒れ命の終わりの日を迎えてしまうにあたって、意識のないまま数日間過ごすより、たとえ数日間であっても自分らしくいられることの重要さを痛感し、救命処置を教える応急処置普及員の資格を取得されたそうです。
 グリーフワーク(ケア)の言葉も初めて耳にするものでした。これは肉親を亡くして悲しみに暮れる遺族に寄り添って葬儀を行うとともに、時にはその後も悲しみに対処したケアを行う仕事です。通り一遍の葬儀の仕事ではない点がこの言葉に込められています。消防団の団員であるのも、悲しい不慮の事故を一件でも防ぎ、たとえ死に直面する状況であってもその方との最期の時間を会話であったりアイコンタクトであったりなどの何かしらの想い出を作っていただきたいという意味も込められているようです。
 親を亡くするのは自分の過去を失うこと、子を亡くするのは自分の未来を失うこと、自分の伴侶を亡くすることは現在を失うこと、恋人や親しい友人を亡くした人は自分の一部を失うこと、という「死」を表現した言葉が印象に残り、確かにその通りだと思いました。グリーフケアはそのような「死」の意味を考慮して行われるものなのでしょう。
 田村氏のお話で、本木雅弘が納棺師を演じる映画「おくりびと」の興行人気も手伝って、納棺師の仕事をする若い人が増えているそうで、それも女性が多いという紹介がありました。復元死化粧師とは事故死とか自死等で遺体を死の直後に遺族と対面させるのが憚られるような状況で、特殊メイクも援用しながら死者の尊厳が保てる状態にもってゆく仕事です。飛び降り自殺の遺体を直ぐに親に見せずに復元死化粧を施した後で面会させられて、よかったと思うというお話もありました。
 田村氏がこの仕事を志す遠因には同氏の肉親(兄)の交通事故死があり、その傷ついた死に顔が今でも脳裏に焼き付いており、故人をもっと生前の姿に近づけたかったという思いがあったと述べられていました。
 民族の鬼観念を造形するプロセスの中で死体現象が大きく作用したのではないかという推論から遺体を青鬼、赤鬼、黒鬼で表現されていて、何の事かと思うと、腐敗していく遺体は青く変色し、赤鬼は遺体内部に溜まるガスで巨人化し顔が変形し、乾燥と融解の状態になると黒ずんできて黒鬼状態になります。そのような死後変わりゆく遺体を可能な限り少しでも生前の状態に近づけて故人の尊厳をお守りし葬送するための手助けが復元死化粧師の仕事になります。
 レーニンの遺体の例でエンバーミングの紹介もありました。日本語では死体防腐処理、遺体衛生保全といわれています。火葬で遺体処理をする日本ではそれほど多くはないそうですが、それでも火葬までの期間遺体をきれいに保存するため利用される技術で、この分野でも専門技術者が居ます。職業とは驚くほど多岐にわたります。
 遺体との会話という事にも言及されていました。「亡くなった方は死に際して何を望まれているのか」「送る側としては何をしてあげられるか」を考えて葬儀を行うというものです。故人を知らない状況で死に際してこれを行うのは直感に頼る他無いとのことです。心を集中させ声無き言葉に耳を傾ける。色々なケースの積み重ねでこの直感を研ぎ澄ますことになるそうです。
 田村氏は3Dプリンターの組み立ての最中です。このお話を耳に挟んで今回の講師を頼んだ経緯があります。復元死化粧に際して顔の部分等を3Dプリンターで造形して、これを用いることはできないかという話です。今のところ3Dプリンター装置を徐々に組み立てていく方法を採用していて、完成には至っていないとのことです。3Dプリンターにこんな利用法があるとは想像ができませんでした。それにしても技術者でもない田村氏が、技術者顔負けの発想とそれを実行に移して行く行動力には驚かされます。
 講義の最後に死化粧の略式の実演がありました。まず田村氏が自分の腕にただれたような傷の状態を特殊メイクで作ります。これを死化粧前の状態に見立て、めくれた部分を除去します。その上にアメリカ製遺体用のクリーム状のものに色を調合し塗ってゆきます。最後にエアースプレーで色むらを修正すると、元の肌のように見えます。見事なものです。この実演は今回が初めてだそうで、めったにみられない実演を目にした参加者が4名とは勿体ないことでした。
 なお、田村氏の会社の名前の「ティ・エム」について尋ねたところお名前のTamura Mayumiの頭文字だそうで、これには一本取られた感じでした。

講義中の田村氏A.jpg
(講義中の田村氏)

特殊メイクによる遺体の部分の形成A.jpg
(特殊メイクによる遺体の部分の形成)

めくれた部分の切除A.jpg
(めくれた部分の切除)

肌色のクリーム状のものの塗布A.jpg
(肌色のクリーム状のものの塗布)

エアスプレーで色むら修正A.jpg
(エアスプレーで色むら修正)

11・17(その3)死化粧師 復元の皮膚 見事なりA.jpg
講義の様子のパノラマ写真:この説明文をクリックして別のブログのページに飛び、そこの画面をクリックするとパノラマ写真で見ることができます
posted by esre at 06:31| Comment(0) | TrackBack(0) | eシルクロード大学

2016年11月01日

eSRU第11期第11講案内

eシルクロード大学(eSRU)第11期第11講案内です。

日時:2016年11月17日(木)18:00〜19:30
講師:(株)ティ・エム社長・一級葬祭ディレクター 田村麻由美氏
演題:「葬送の現場から」
場所:ユビキタス協創広場 U-cala
   北海道札幌市中央区北1条東4丁目1-1
   サッポロファクトリー1条館1階
   https://www.uchida.co.jp/company/showroom/u-cala.html
内容:1級葬祭ディレクター、1級グリーフケア・アドバイザー、復元死化粧師の
   田村麻由美氏から、一般的に知られていない遺体修復とは、最近の終活や
   葬儀の動向、グリーフ・ケアなどについてお話していただきます。
posted by esre at 14:46| Comment(0) | TrackBack(0) | eシルクロード大学