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2017年01月23日

eSRU第12期第1講

 eシルクロード大学(eSRU)第12期第1講は
2017年1月19日(木)18:00〜19:30
講師に奈良大学3年生松尾誠之氏をお迎えして、
「北前船の運んだもの」の演題でお話を伺いました。
場所はいつものユビキタス協創広場U-calaでした。
 松尾氏は昭和26年名古屋市に生まれ、ホクレン並びに(一社)ジェネティクス北海道勤務を経て平成28年6月退職、10月から奈良大学文化財歴史学科に編入学して通信教育で学んでいます。
 今回の演題にある北前船はホクレン函館勤務時代に 函館基盤開発の恩人高田屋嘉平衛に出会ったことから興味をもって以降10年以上の付き合いになるとのこと。きっかけは宝来町にある大きな銅像と司馬遼太郎の小説「菜の花の沖」が原点にあるそうです。でも恩があった割にはどうも函館の人は嘉平衛の業績に冷淡だといいます。
 江戸時代から明治初頭まで日本の物流を支えた大動脈・北前船は北海道と大阪を結ぶ西廻り航路が主体で 最大の特徴は運賃を貰って品を運ぶ賃積み船と異なり船頭の采配で何を積んでどこで下すかが決まる買い積み船だという点が性格を表しています。
 すなわち国内のあらゆる商品の需給状況が頭に入っていて、日本海沿岸の港毎に信頼を置いてくれる人々のネットワークが形成された近江商人に始まる商人道「売って喜び買って喜ぶ」のスタンスです。
 北海道からはコンブ・数の子・ニシン粕等が送り出されました。これらを積むために春先に大阪を出港した船は沿岸各地を寄りながら 最終は蝦夷地で米・酒など生活必需品を下して その賑わいぶりは「江差の5月は江戸にもない」と言われた位です。
 北前船寄港地で印象に残ったのは 佐渡島の小木港に隣接する集落・宿根木(しゅくねぎ)だといいます。千石積の本船を実物大に復元展示しているので大きさを体感してきたそうです。加えてここには今でも太鼓芸能集団「鼓童」の本拠地があってクライアントに求められると全世界を股にかけて公演を行っているあたりは、さしずめ北前船商人スピリッツが息づいているとのこと。
 瀬戸内赤穂市の坂越(さこし)も忘れ得ぬ寄港地だそうです。現在でも銘酒「忠臣蔵」の蔵元の奥藤酒造は、かつて北前船主として米・酒・赤穂塩を運んだ大店でもあり創業400年の伝統を誇るところですが、訪問時、現地郷土館の調査員と遭遇し、忠臣蔵の仇討ちばかりでない観光ソースを北前船寄港地に求めていく民間レベルのコンテンツ掘り起こし活動にいたく共鳴しています。
 平成28年11月には江差で開催された「北前船寄港地フォーラム」に出席した際に坂越からも参加があって件の調査員と再会をはたしています。北前船寄港地という歴史的共通項で繋がったフォーラムの議長は「北前船コリドール(回廊)構想」を提唱した作家の石川好氏だそうです。平成19年に山形県酒田市で第1回が開催されて以降毎年複数回開催され 江差大会は第18回に当たり この間北海道では第4回松前、第9回函館と開催されてきています。
 観光コンテンツとして地域の単独アピールはNHK大河ドラマの舞台にでもならない限り難しい、地域を繋ぐ北前船寄港地というファクターを掲げ北海道から関西までの西廻り航路をアピールすることは非常に魅力的なプランだといいます。特に明治時代以降 裏日本と呼ばれたこれら地域を表舞台に引っ張り出すきっかけになって、一極集中の東京を見返してやりたいと過激な発言もありました。
 今年の春先には北前船が現在申請中の日本遺産登録となって現代に甦ることを願ってやまないと締めくくりがありました。
 参加者は講師を含め7名でした。

講義中の松尾氏A.jpg
(講義中の松尾氏)

講義風景(松尾氏)A.jpg
(講義風景)



講義風景(パノラマ写真)A.jpg

(講義風景・画面クリックでパノラマ写真)
posted by esre at 08:28| Comment(0) | TrackBack(0) | eシルクロード大学
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