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2018年07月02日

eSRU第13期第6講

eシルクロード大学(eSRU)第13期第6講は
2018年6月21日(木) 18:00〜19:30
講師に特定行政書士 松岡京子さんをお迎えして、
「家族信託とは〜財産を(守る)(活かす)(遺す)新しいかたち」の
演題でお話を伺いました。
場所はいつものユビキタス協創広場U-calaでした。

 最初に、旧北海道拓殖銀行に勤務され、その後、特定行政書士として活躍されている松岡さんの簡単な自己紹介がありました。

 まず、最近新聞等で目にする「家族信託」の説明がありました。「信託」というと、「投資信託」とか、信託銀行というのがまず思い浮かびますが、「家族信託」の「信託」は全く違うものとのことです。どこが違うかというと、今まで信託というと、主に「商事信託」(「営業信託」)で、信託銀行や信託会社が、信託報酬を得るために業務として行っているもので、信託業法の制約を受けています。

 これに対し、「民事信託」は、財産を管理する人が、信託報酬を得ないで行う信託、つまり非営利にやっているので、信託業法の制限を受けなくなりました。財産を管理する人は、個人でも法人(一般社団、株式会社等)でも誰でもなることができます。つまり、民事信託は、信託銀行や信託会社が行うべきものではなく、一般の人が「財産管理の一手法」として利用できる仕組みで、大変身近なものになったとのことです。

 これは、信託法の大改正により実現されました。信託法という法律は、大正時代にできた法律で、金融商品としての性質を持ち、信託銀行等が取り扱う資産運用としての活用が主流でしたが、85年ぶりの大改正で、金融商品ではなく一般の人も使える財産管理の手法として利用しやすくなったとのことです。平成19年9月30日施行で、まだ10年経っていない新しい制度です。

 それでは、財産管理を誰に任せたらいいのか?という問題が出てきます。読んで字のごとく「信じて託す」相手として、最もふさわしいのは、自分の家族・親族(もっと言いますと、揉めていない家族関係が良好である)家族・親族に財産管理を任せる仕組みが、「家族信託」です。最近注目を集めているのは、この家族信託を、高齢になった場合、またはお子さんに障がいがあり親亡き後の心配がある場合の財産管理として、とても有効ではないかということで色々な場合に活用されていることに着目されたからのようです。確かに高齢になった場合、「終活」という言葉に誰しも関心を寄せているかと思います。現代の超高齢化社会においては、「長寿リスク」と「資産凍結リスク」という2つのリスクのことをちょっと考えておかなければならないとのことです。

 一つ目の「長寿のリスク」は、長寿が大変喜ばしいことと、手放しで喜べないのは、確かに実感としてあります。老後にどれだけお金が必要になるか、まったく予測ができないので、元気なうちに自分で思う存分使いたくても使えない。また、子や孫にあげたくてもあげられないというような悩みを抱えてしまいます。

 2つ目の「資産凍結リスク」で、認知症などで判断力が低下すると、定期預金が解約できない、自分名義の土地・建物を売却することが出来ない。 どのように対策を立てておこうか頭の痛い問題です。
 
 そこで家族信託の出番になり、今回は、『本人及び本人死亡後の配偶者の生活を守る』例として、山田さんという架空のお宅を例にとって説明がありました。

 登場人物は、夫:父郎さん、その妻:梅子さん、長男:子太郎さん、長女の4人家族です。
 設定は、
 夫:父郎さんは自分名義の自宅土地・建物と2千万の預貯金を持っています。
 妻:梅子さんは認知症になり、3年前から、施設に入所しています。
 子供:子太郎さん、長女は、二人とも、別に市に住んでいて、既に自宅も持っています。
 父郎さんは、妻梅子さんが施設に入所してから3年間、一人で頑張って生活してきましたが、身体が衰えてきて自宅での一人暮らしは辛くなり、数か月前に施設に入居し、自宅が空家になっています。

 介護施設に入居すると、一ケ月約20万かかるとのこと。(勿論施設によって、金額は様々でしょうけど)父郎さんと、梅子さんの二人になると、月40万になります。40万の出費はかなり大変で、年金で賄えない部分は、預貯金を取り崩していくことになりますが、なるべく現金は手元に残しておきたい。今後、父郎さんの空家になった自宅を売却して、介護費用に充てたいと長男と長女が考えました。最近の父郎さんの言動を考えると、何となく認知症の初期症状かと思われることもあり、長男、長女の心配が増しています。

 この場合、父郎さんが自宅を売却できるでしょうか?勿論、自分で判断出来る間は、父郎さんが自分の自宅を売却することは十分に可能です。実際の父郎さんの気持ちとしては、今すぐ自宅を手放すのは、ちょっと寂しいですし、面倒な手続きは長男に任せたいと思っています。

 家族信託契約で、この心配に対策をたてます。父郎さんが委託者(財産を持っている人)が長男:子太郎さんを受託者として(財産の管理を行う人)と信託財産を父郎さんの自宅として家族信託の契約を結ぶと心配の解消に繋がります。

 信託財産は、委託者から独立した別の財産という性質を持つ為、通常不動産を売る場合、持ち主の同意がないと売ることはできませんが、委託者が意思を表示することが不可能になってしまった場合でも、財産の管理を任された受託者が売ることができます。長男:子太郎さんが適当な時期に信託財産となった自宅を売却し、そのお金で毎月の父郎さん(と梅子さん)の施設費を払っていくことができるす。父郎さんの健康状態に左右されなくなりますので、父郎さんが認知症になり判断能力がなくなっても、長男子太郎さんの判断により、子太郎さん一人で父郎さんの自宅を売却し、現金化することが出来ます。

 何故、こういうことが可能かというと、父郎さんが持っている父郎さんの自宅の所有権とは、管理権と受益権の2つから成り立っているからです。管理権は、不動産の管理・売却等が出来る権利で、受益権は経済的な利益を得る権利です。今回、受益権は父郎さんが持ち続け、管理権だけを子太郎さんに移すという考え方なので、自宅の売却資金は父郎さん(と梅子さん)の為に使っていくことができるのが、生前贈与とも違うところです。父郎さんは、自分が亡くなった後、財産を誰に渡すのかも、家族信託で決めることができます。 まずは、長男子太郎さんに渡し、その後子太郎さんの子供に渡すことも、決めておくことができます。

 老後の安心のためには、遺言書、後見制度、家族信託が3つの柱になるようです。どの制度を活用していくかは、各家庭により事情が異なるでしょうが、上手に組合せていくことにより、安心な老後を実現することが出来るようです。

 その後、遺言書、後見制度の実際の活用場面の話がありました。質疑応答に移り、金融機関に長年勤務されたSさんからも色々なアドバイスを頂き、皆さん待ったなしの老後の問題を少しは身近に感じたのではないでしょうか?

出席者は13名でした。

6・21講義中の松岡さんA.jpg
(講義中の松岡さん)

6・21講義風景1A.jpg
(講義風景)

6・21講義スライドA.jpg
(講義スライド)

6・21(その3)契約で 家族に託す 老後なりA.jpg
(講義風景のパノラマ写真:ここをクリック
posted by esre at 15:07| Comment(0) | TrackBack(0) | eシルクロード大学
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