...

2018年11月03日

eSRU第13期第10講

eシルクロード大学(eSRU)第13期第10講は、
2018年10月18日(木) 18:00〜19:30
講師に元宇宙科学研究所所長・東京大学名誉教授秋葉鐐二郎先生をお迎えし、
「システム工学のすすめ」の演題でお話を伺いました。
場所はいつものユビキタス協創広場U-calaでした。

 最初に秋葉鐐二郎先生の簡単な紹介が世話役の北科大の三橋教授からありました。秋葉先生は「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」と称される糸川英夫先生の指導の下で、卒業研究でペンシルロケットの設計にかかわり、宇宙工学の専門家になったそうです。ハレー彗星探査のプロジェクトマネジャーなどを経て、宇宙科学研究所所長を勤められて退官後、1996年に北海道工業大学(現北海道科学大学)の教授に着任されました。2008年に宇宙科学全般の研究に携わる世界各国の学者・研究者等から選ばれた人々によって構成される国際宇宙航行アカデミーが贈る最高の賞であるフォン・カルマン賞を日本人で二人目に受賞されました。また、来道後はNPO法人北海道宇宙科学技術創成センターの立ち上げに尽力されました。
 糸川先生が主とした研究は宇宙工学ではなく実はシステム工学であったとの意外な紹介がありました。システム工学は半世紀以上の歴史がありながら、未だに日本での理解や認識が十分にされていないとのことです。システム工学に関してはArthur D. Hallが1962に出版した「Methodology for Systems Engineering」が初めてのシステム工学の本ではないかとのことです。ご自身、システム工学は糸川先生から学んだと紹介がありました。糸川先生の著書「逆転の発想」はベストセラーになったそうです。以下は紹介された糸川先生の代表的な著書です。
・発想の逆転
・創造性組織工学講座
・人類存在の大法則
・想像力
・人類は21世紀に滅亡する
 まず、システム工学とは何かという説明がありました。「システム工学とは、システムという考え方に基づき、システムの目的を最も効率よく達成するために諸科学、技術を総合的、体系的に適用して、複雑な問題を解析・解決する総合的な工学的方法の体系化」であり、システムの捉え方が最重要であるとのことです。システムの捉え方として大局観をもって以下の項目が特に大事だとのことです。
・創造工学
あらゆる知見が創造の糧
・未来予測
規範的未来予測(地下資源枯渇の未来に向け)
・システムの階層性
階層的位置づけにふさわしい手法
・社会構造と行動科学
自然や社会は複雑系
 案外、寝ぼけているときの方が新しい発想が生まれることがあるかもしれないと考えているそうです。
 研究費の取得に関しては、歴史的にも政府にはお金がないことを理解しなくてはならないそうです。民間資力の活用が昔から行われており、日本の例として下記の紹介がありました。
・奈良の大仏建立
・江戸時代の藩札
・明治維新の太政官札
いずれも民間資力を活用したとのことです。日本政府は第二次世界大戦で民間から洗いざらいの資金を持って行ったそうです。現在は国家予算の1/4が医療福祉予算、1/4は国債のために使用されており、100兆円のうち実質的には1/3程度しか使えないそうです。国民の富の半分は国債であるそうです。書籍として「Revolutionary WEALTH(富の未来)」(Alvin & Heidi Toffler, 2006)が参考になると紹介がありました。
 公的資金に頼らずにも現在においては、ビットコインのような仮想通貨による資金調達の可能性があるとのことです。具体的には下記のようなものです。
・ブロックチェーン技術により、同じ価値観を持つ集団の形成が可能になり、地域通貨の概念を地域(組織)横断的な通貨とすることが可能となった
・個人資産の流れが追跡できる
・造幣の費用が不要である
・小規模集団のクラウドファンディングにも活用でき。
公的資金で足りないときには寄付を募ればよいが、太政官札の場合のように理念の明示が重要であるとのことです。
 北海道における宇宙工学の研究費の調達に関しては、新規の仮想通貨の発行にはやや疑問があり、現存仮想通貨を含めたクラウドファンディングが現実的ではないだろうかとのことです。さらに北海道の地域通貨的な「道札」の発行には現実性がありそうだとのことです。藩札があったことから考えると現実離れした話ではないとのことです。
 地球の人口は既に70億人を大きく超えており、全陸地で考えると北海道程度の人口密度程度になるそうです。日本の少子高齢化は通らなくてはならない道として社会として対処することが未来につながると考えているとのことです。
 教育に関する考えを述べられました。当然のことながら、教育は次世代育成の社会事業であり、教育は文字通り「教」と「育」の両輪からなるが現在の日本においては「教」が重要視されており、本当に「育」を行っているのは保育園ではないかとの皮肉的に述べておられました。また、人間は自然界における一生物種であるから、自然環境を保持することは大前提であるとのことです。
 近代の日本に富をもたらしたのは「生糸」であり、それは東京を中心としていたことはあまり知られていないことのことでした。奇遇にもeシルクロードに通じるものがあるのではないかというお話でした。

 聴講者からの秋葉先生の時代の資金調達に関する質問がありました。
バブルの時代で巨額の資金調達が可能で、今考えたら夢のような時代であったとのことです。しかし実際にはお役所対処で苦労されたそうです。
 CAMUIロケットの将来展望の質問がありました。
従来のロケットを目指す必要はないと考えているそうです。現在はロケットの打上に伴う物体を海に落とさないように宇宙工学者は努力しているそうです。昔は、正確に(場所)落とすのは軍事技術とされていたが、現在はスペースXでも実現しており、日本の民間で行うことも問題ないそうです。
 最後に、富は流通させることが重要であり、それは仮想通貨であっても何でもよいとのことでした。

 出席者は10名でした。

講義中の秋葉先生A.jpg
(講義中の秋葉先生)

eSRU会場風景(2018・10・18)A.jpg
(会場風景)

10・18(その2)米寿過ぎ 立ち続けての 講義なりA.jpg
ここをクリックすると会場のパノラマ写真)
posted by esre at 13:11| Comment(0) | TrackBack(0) | eシルクロード大学
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/184851029

この記事へのトラックバック