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2019年05月28日

eSRU第14期第5講

 eシルクロード大学(eSRU)第14期第5講は、
2019年5月16日(木) 18:00〜19:30
講師に札幌国際大学准教授 後藤ゆり先生 博士(医学)をお迎えし、
「運動と健康について」の演題でお話を伺いました。
場所はいつものユビキタス協創広場U-calaでした。

 最初に世話役の北科大の三橋龍一教授から後藤先生と高校(札幌旭丘)の同期であるとの紹介がありました。後藤先生の自己紹介があり、高校卒業後に東京へ行き札幌に戻ってきた後にピープル(スポーツクラブ)でインストラクターをされ、語学学習目的でカナダのエドモントンへ留学したそうです。その後、アメリカのカーボンデールへ行き、就労ビザが切れることもありニューヨーク州立大学バッファロー校へ進学し、帰国後に北大大学院医学研究科を終了し博士(医学)の学位を取得されました。現在は札幌国際大学准教授をされているとのことです。高校時代はバスケットボール部の活動を主とした生活をして、現在の大学では男子バスケットボール部の顧問をされているとのことです。
 モンゴルのダルハン市へ調査研究目的で行ったときに、モンゴル国内で最も整備が良いとされているグランドなどを視察したところアメリカの施設との差が大きいことに驚くとともに、国際的に活躍している選手もここで練習してきたということに考えるところがあったそうです。
 主な講演内容は下記の項目でした。
・U型糖尿病
・認知機能
・ストレス
・社会との繋がり
・山菜取り
・姿勢と動作
 糖尿病患者数は男性の方が女性より多く、年々増加傾向にあるが高年齢化の影響もあるため発症率が大きくなったとも言えるとのことです。U型糖尿病の仕組みの図を用いて解説がありました。正常な場合には血液中のグルコース(細胞のエネルギー源となる栄養素)が細胞壁の外側のインスリンレセプターで感知され細胞内に取り込むGLUT4を機能するようにするところ、何らかの原因でインスリンが分泌されなくなるのがU型糖尿病であるとのことです。しかし、有酸素運動することによりインスリンが分泌されなくてもGLUT4が活動をするとのことです。つまり、適度な運動(ウォーキングなら20分程度で軽く汗ばむ程度でも効果があるということです)をすることにより、インスリンが分泌された状態と同様にGLIT4が機能するため、医師は患者に対して運動を勧めるそうです。糖尿病患者の中には、運動により痩せることが目的だと誤解している人も多くいるとのことです。
 認知機能に関しては患者数が増加しているのは、高齢化の影響が大きいだろうとのことです。エアロビクスとストレッチングを比較すると有酸素運動であるエアロビクスの方が認知能力の低下のリスクを減らすことができ、記憶や空間学習能力に関わる海馬体はエアロビクスの効果が大きいということが脳科学で明らかになっているそうです。
 ストレスに関してはキラーストレスが問題であるとのことです。恐怖を感じる中枢である偏桃体は、人類にとっては危険な動物などに遭遇した時に瞬時に反応して逃げるために重要であったのが、現代社会ではほとんど不要な存在であるばかりか、キラーストレスの原因となっているそうです。ストレスにより延髄の神経が発達して敏感になり、ストレス反応が起きやすくなるとのことです。
 「これまでの内容から運動は体に良いと思いますか?」という問い掛けが講師から聴講者にありました。アメリカのロセットは豊かとはいえない炭鉱の町であるが健康な人が多いことが知られており、50年間にわたり近郊の町と比較した有名な調査結果の紹介がありました。その結果、ソーシャル・キャピタルが重要であることが明らかになったとのことです。しかし、経済的に豊かになりプライバシーを重視した生活に変化した結果、他の町より健康的とは言えなくなったそうです。ソーシャル・キャピタルとは、簡単に言うと「ソーシャルネットワーク」「社会的繋がり」「地域の人や身近な人を信頼すること」とのことです。Adjusted hazard ratios(健康度? 基準を1として数値が大きくなるほど悪い)という臨床試験で使用されている方法で4つのグループに分けて分析すると「複数人で参加型の運動」を続けているグループが最もよく、「ソーシャル活動をしている(運動はしていない)」が続き、その次に「一人でエクササイズをしている」グルーブ」で、最も悪いのは「運動もソーシャル活動もしていない」グループであるという研究論文の紹介がありました。
 山菜取り事故発生は、春の方が秋よりも5倍程度多いそうです。性別では男性の方が若干多く60歳以上の遭難者が多いが、山菜取りを行う人に高齢者が多いことから高齢者の遭難率が高いというわけではないとのことです。平成7年度から平成17年度の期間に803人の山菜取り遭難者が発生しているが、無事が79%で負傷が7%、死亡は12%、不明は2%であるそうです。また、タケノコ採りの遭難者が57%を占めており、方向見失いが多いとのことです。ギョウジャニンニクの遭難者は男性が女性の約2倍の割合があるが、日当たりの良い急斜面に生えている事より男性が急斜面で滑落する事故が多いためと考えられるとのことです。
 姿勢と動作に関して、後藤先生から猫背で両腕を上げることと姿勢を正した状態で行うことを指示され、聴講者が椅子に座ったまま行いました。猫背で行った方が腕を上げ難く、脊柱起立筋の活動のしやすさの差であるとのことです。腕立て伏せはトレーニング方法としては良くても、正しい姿勢で行うことが重要であるそうです。
 最後に後藤先生自身のストレスに関するお話がありました。2016年6月8日はストレスが極端に高い状態だったが、よさこいソーラン祭りの知人のチームの追っかけをしたところ(スマートフォンに記録した歩数と距離のデータを紹介して)、ストレスが減ったことが自覚できたとのことです。そのことは、ストレスがあるときなら行っていなかっただろうと考えられる、重い荷物を持って難儀している高齢者の荷物を持ってその方の自宅まで同行したとのことです。お礼に缶ビールとシュークリームをいただいて、帰宅後も気分が良かったとのことです。健康になるとともにストレスが軽減され、他人に対して優しくなれるという様々な効用が、適度な運動によって得られると考えているそうです。
 蛇足ながら、後藤先生のご尽力で札幌国際大学の図書館に爪句集39巻の寄贈が実現しました。寄贈プロジェクトに関してはACTNOW社のHPに掲載されています。
出席者は7名でした。
eSRU(2019・5・18)講義・後藤先生A.jpg
(講義風景)

講義中の後藤先生A.jpg
(講義中の後藤先生)

5・16(その3)健康を 隻句で言えと 迫りたりA.jpg
(講義風景:ここをクリックするとパノラマ写真

札幌国際大学爪句集寄贈3A.jpg
(札幌国際大学に寄贈された爪句集39巻)
posted by esre at 18:14| Comment(0) | TrackBack(0) | eシルクロード大学
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