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2019年09月23日

eSRU第14期第9講

eシルクロード大学(eSRU)第14期第9講は、
2019年9月19日(木) 18:00〜19:30
講師に北海道科学大学教授三橋龍一先生をお迎えし、
「CFを契機に本格的にスタートした衛星プロジェクト」の演題で
お話を伺いました。
場所はいつものユビキタス協創広場U-calaでした。

 最初に北科大の三橋教授からの自己紹介があり、旭岳と手稲山間での超微小電力無線通信実験に協力していただいた登山愛好家の名和田氏の簡単な紹介もありました。
 三橋教授は大学教授以外に「NPO法人 大学宇宙工学コンソーシアム(UNISEC)」 理事と「NPO法人 北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC) 」理事として宇宙工学の研究と共に学生や企業の宇宙開発の支援活動を行っているとのことです。宇宙との関わりは1996年に宇宙科学研究所の所長を定年退官された秋葉鐐二郎先生が、北海道工業大学(現 北海道科学大学)の教授として着任し、その時に研究室が隣であったという縁から始まったとのことです。そのため、1996年4月に国から承認され開発が始まった「はやぶさ」の第一回設計会議などにも出席する機会もあり、宇宙開発の現場に興味を持ったそうです。
 1997年頃から大学や高専での宇宙開発を支援する組織の立ち上げに関わり、その組織が2003年にNPO法人として東京都から認められたUNISECで、2017年には国連のオブザーバーとして公式に承認されるに至ったそうです。2003年にCubeSatと呼ばれる10cm×10cm×10cmサイズの打ち上げと運用に東大と東工大が成功し、日大の衛星が2006年7月にロケットの打ち上げ失敗により、2006年9月に三橋教授が主要メンバーであった北海道キューブサット開発プロジェクトチームが開発した「HIT-SAT」がチームとしては世界で3番目の打ち上げ成功事例となりました。
 CubeSatという超小型衛星とはいえ、地球周回軌道上を飛行する本物の人工衛星であることから、HIT-SATの開発から運用までの苦労は多く、三橋教授には再び衛星を開発する気持ちは無かったそうです。しかし、顧問を務める「宇宙開発研究同好会」(HIT-SAT開発の学生たちが立ち上げた)が昨年度からUNISEC総会や活動報告会に積極的に参加するようになり(6名の学生が自己負担で会場であった東大などに行ったとのことです)、さらに昨年度に国際宇宙ステーション(ISS)から放出されたCubeSatの運用管制にかかわったことから再び人工衛星を開発することを三橋教授は漠然と考えていたそうです。そこに2019年3月16日に開催された「2019年北海道科学大学オープンキャンパス・大学プレゼンテーション」でユニークな研究活動をしている3名の教員のうちの1人として三橋教授が選ばれ、600人を超える高校生や保護者の前でプレゼンテーションを行い、学園設立の2024年までに再び道産衛星を打ち上げる活動を行っていることを公表する経緯が加わります。プレゼンテーションの内容は、入試課・広報課・外部委託業者と検討してまとめ内容であることからオープンキャンパスにふさわしいと判断されたそうです。
 衛星開発プロジェクトは学内と大学を志望する高校生らへは周知したものの、学外へも広報したいと考えていたところ、7月18日のeシルクロード大学(eSRU)で北海道新聞社が運営するクラウドファンディング(CF)「find H」に関する同社の惣田氏の講義を受講して、その場で三橋教授はCFを行う決心をしたとのことです。実際に僅か8日後にCFをスタートさせています。CFは学内では初めてのことであることから三橋教授は非常に苦労をしました。しかし、最終的に道新が運営するCFであるという信頼性から学内で公式にCFの実行を認められたそうです。CFの目的はお盆期間に秋田県で開催される「能代宇宙イベント」への参加を応援するものであることから、募集期間は2週間と短期であったため、目標金額を10万円と比較的少額に設定しましたが、最終的にはfind Hでは過去最高となる212%の支援達成率になり、学内外に対する広報目的で行ったことから考えると大成功でした。
 CF実行中に三橋教授の大学の先輩でもある中本氏に衛星開発の相談をしたところ、非常に興味を持ってもらえ、技術面と広報は全面的に、さらに打ち上げ資金の調達にも協力していただけることになったとのことです。HIT-SATの開発時の主要メンバーであった熱設計の専門家である北海道大学の戸谷教授と赤平市の植松電機の植松社長の了解が得られ、構体設計等のプロである安中氏も全面的に協力していただけることになったそうです。また、中本氏は自身の人的ネットワークの広さを活用して、衛星開発に必要なエンジニア等の協力を得ることにもすでに成功しているとのことです。JARLやJAMSATさらにはCQ出版も巻き込んだ大きなイベンを考えていると聞いています。
 開発する超小型衛星の主目的はSDR(ソフトウェアラジオと呼ばれるもの)を活用した超微小電力でのデータ伝送であるとのことで、9月4日に登山愛好家の名和田氏の全面協力を得て、旭岳山頂と手稲山間の約150kmの距離で最小1mWの通信実験を行い、当初の目標レベル以上の通信実験に成功したそうです。旭岳山頂での実験で登山協力者が必要であったのは、実験機材を三橋教授がリュックに入れて運ぶことと安全面のサポートをしていただくためであったとのことです。衛星プロジェクトが広く認識された際には、この通信実験から始まったことを広報材料にすることが主目的の実験であったそうです。
 最後に、衛星プロジェクトの進行状況についての話がありました。衛星はISSから1UサイズのCubeSatを放出するもので、J-SSODと呼ばれるISSの日本実験棟「きぼう」から放出する方式で行うとのことです。その事業の認定をうけているSpace BD社と9月11日に第一回目の打ち合わせを北科大内で行い、衛星の目的・放出までの過程や費用の概要がまとまったとのことです。現在のところ、2020年度の打ち上げを予定しているそうです。北海道内では、大樹町のmomoロケットの打ち上げなど宇宙開発の盛り上がりがみられるものの、一般の人にはなかなか興味を持ってもらえないことも現実です。そこで、ロケットと衛星の両方を道内で行うことにより北海道を日本の宇宙産業の中心としたいとのことで活動を行っていると三橋教授のお話でした。

出席者は8名でした。
講演中の三橋教授A.jpg
(講義中の三橋教授)

UNISECへの参加A.jpg
(UNISECへの参加の様子)

通信実験のスライドA.jpg
(旭岳―手稲山間超微小電力通信実験)

9・19(その4)衛星の 打ち上げ目指す 努力かなA.jpg
(講義風景:ここをクリックするとパノラマ写真
posted by esre at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | eシルクロード大学
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